最悪の修羅場「おとなのけんか」
「ローズマリーの赤ちゃん」、「戦場のピアニスト」などで知られる名監督、ロマン・ポランスキーの傑作コメディ「おとなのけんか」をご紹介。
こんな人にオススメ
- 四人の名優による素晴らしい演技合戦が見たい人
- 絵的な変化ではなく、セリフ回しと関係性のこじれを楽しめる人
- 他人の修羅場や気まずい空気を笑える人
固定された舞台の中でセリフ回しと人間関係のこじれだけで面白さを成立させる映画
もしこのブログを見てくださる人の中で、漫画家や作家を目指している方、趣味でも創作をしたい方がいらっしゃったら、この映画は絶対に見た方が良いでしょう。なぜなら、セリフ回しと演出による上手なキャラのたたせ方がわかるからです。
あらすじは簡単、11歳の少年ザッカリーが公園で遊んでいる際、喧嘩となり、木の棒で同級生のイーサンの前歯を折ってしまいます。その被害者の両親の家に加害者の両親が謝罪に訪れ、会話を重ねるごとに修羅場になっていくというお話。
被害者イーサンの両親
- 金物商を営む平凡第一な夫マイケル(ジョン・C・ライリー)
- 作家でインテリの妻ペネロピ(ジョディ・フォスター)
加害者ザッカリーの両親
- 弁護士で仕事第一な夫アラン(クリストフ・ヴァルツ)
- 投資ブローカーで動物愛護家な妻ナンシー(ケイト・ウィンスレット)
見事に名優ばっかり…贅沢なコメディ
僕はこの中でも特にジョディ・フォスターとクリストフ・ヴァルツが好きなのでこの二人が出ている大好きな映画を紹介します。っていうか好きな映画に出ているから好きになっちゃうんですけどね。
ジョディ・フォスター主演のSF映画。宗教と科学の違いは何か「コンタクト」
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クリストフ・ヴァルツの名悪役っぷりを見よ。タランティーノ監督の「イングロリアス・バスターズ」
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それぞれが大切にしているモノと価値観の違いがわきまえた大人の顔を崩してゆく…
四人にはそれぞれ大切にしているモノと価値観があります。それらがステレオタイプ的に四人のキャラクターを形成しているのですが、人間関係の軋轢は往々にしてその違いによって生れるものです。しかし、それらはこの四人の目的とは全く関係がありません。彼らは自分たちの子供の喧嘩を平和的に解決したいのです。では、なぜ人間関係のこじれが生まれ、この物語を成立させるのでしょうか。
和ませるためにした他愛もない世間話や振る舞いから、大切なモノや価値観の違いが表れ、こじれるきっかけを与えていく…
ここでシン・ゴジラを思い出してほしいのです。シン・ゴジラとはなんだったのか…
それは日本の防衛システムと社会において、起きて欲しくないことをことごとく起こしてくる虚構です。これによって日本社会の弱点をあばきだすのです。
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要は「おとなのけんか」とは、大人の平和的で対等な話し合いにおいて、起きて欲しくないことをことごとく起こしてくる虚構なのです。
そして、秀逸なオチ…
話し合いはこじれにこじれ、二組の夫婦を一人一人の人間にばらばらにしたり、ある時は男同士、女同士に連合させたりして、めちゃくちゃに引っ掻き回したあとにくるオチ。完璧にストーンっと落ちています。これは必見です。あとケイト・ウィンスレットのおっぱいが良かったです。そんなに長くないので、身の振り方をわきまえるために一度ご覧になってみては?
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