Youtuberが英雄となる「KILLER APE」
モーニングにて「バンデット-偽伝太平記-」を連載していた河部真道先生の「KILLER APE」を身分をわきまえずご紹介。
こんな人にオススメ
動画配信者+SF×歴史戦記物=ナポレオンをネタにする!
この漫画が描く世界では、人工知能の発達により、人間による戦争がなくなっておりました。しかし、地球規模の災厄「大断絶」により、すべてのAIと無線通信が遮断され、ネット環境は有線通信に逆戻りしてしまいます。そのため、再び人間による軍隊が必要となったのです。そんな中、世界一の動画配信者を目指す坂本哲平は、民間軍事会社WSEC社に就職します。哲平の左目は「大断絶」の際の事故で、録画機能のある視神経直結の義眼となっており、哲平はその電子義眼を用いてWSEC社の訓練を配信し、ウケをとろうと企んでいたのです。しかし、このWSEC社の訓練は、五感をシンクロさせるVR装置を用いて、歴史上の戦争を追体験させるもので、図らずも坂本哲平はナポレオンの最後の戦争、ワーテルローの戦いに参加することになります。
こんな難しい設定なのにモノローグのない第一話…
坂本哲平はとにかく世の中にウケたいだけの自分がないキャラで、某動画サイトの生放送主がモデルではないかなと思います。しかし、この動画配信主というキャラ設定が、ただ現代的な要素を取り入れたというわけではなくて、この複雑なSF設定の説明を自然な形でセリフに落とし込むことができてとても便利なしくみとなっております。文章説明に頼らなければならないとき、漫画の場合、モノローグか会話にするわけですが、モノローグだと、スムーズに物語に入り込みにくくなってしまいます。逆に、会話にすると別キャラを用意しなくてはならず、ページ数がかさみクライマックスにページをさけなくなってしまします。しかし、この漫画は動画配信という状況を用いることで、主人公一人で、自分の行動の意図とか世界設定とかを語ることができるのですごくお得です。そして、安易にタイムスリップに頼らず、SF×歴史という新しさ。
英雄ってどんな人…?過激なネタでウケたいだけの男が英雄に出会うたびに成長していくアツさ
戦争から遠く離れ、戦争をコンテンツにしたい平和の申し子坂本哲平が、歴史上の英雄に出会い、成長し、自身が何者なのかを知るというテーマ。そして、出会う英雄の描かれ方がこのテーマに沿っていて、なおかつ意外性があって面白い。英雄や王とはどんな人なのか…もしかしたら本当にこういう人達なのかもしれない…
関係ないけど、ワーテルローの戦いのあと、哲平はノルマン・コンクエスト直前のイングランド、ヴィンランド・サガの少し後の時代の戦争に参加するのですが、その時のヴァイキングの描かれ方がヒャッハーしてて楽しい。
5巻…5巻…ッ!!
出たよ…「度胸星」パターン。肝心なところが回収できないという…
絵柄のくせが強い先生の漫画って内容も濃くて、面白いことが多いってことを声を大にして言いたい。「バンデット -偽伝太平記-」も太平記の時代観に絵柄がすごくマッチしてるし、キャラもめちゃくちゃ濃いからおすすめです。超武闘派の後醍醐天皇とか出てきます。
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どうでもいいけど、自分も漫画投稿は続けている…