めいそうろく

漫画、映画の感想や創作に関するブログです

デンマーク産風立ちぬ「ハウス・ジャック・ビルド」

鬱映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」で名高いラース・フォン・トリアー監督の2018年の映画「ハウス・ジャック・ビルド」を紹介。

こんな人にオススメ

  • 鬱映画が好きな人
  • アートよりの映画が好きな人
  • スプラッタというより、心理的な残酷描写が好きな人

アートと称して殺人を犯し続けるサイコパス

この映画はざっくり言うと、建築家になる夢を持つ独身技師のジャック(マット・ディロン)が、ある老人(ブルーノ・ガンツ)との会話のなかで自身が犯した殺人行為の芸術性を説明するという映画です。

精神的にきついシーンの連続だけどちょっと笑える

おなじみの胸糞悪くなるシーンばかりなんだけど、途中何回か微妙に笑えるシーンが出てくる。主人公が二人目の殺人を被害者の家で犯した際、犯罪の痕跡を消すために血痕を拭き取るのだが、完璧に拭き取れているか気になって気になってなかなかその家から帰れず、警察に怪しまれてしまう。あぁ強迫性障害ってきついなぁと思いつつ笑ってしまう。でもその強迫性障害の心情をするっと視覚的に理解できるのがすごい。

こういう微妙にクスッとくるシーンは結構あるんですが、やっぱりこの人の映画、精神的にきついシーンが多い。どうしてきついかというと

グロ描写にエンタメ感がない…

ジャックにはかつて奥さんと二人の息子がいました。その家族を猟銃で撃ち殺していくという胸糞シーンがあるのですが、殺人シーン自体にきつさがあるのではなく、被害者の精神の追い詰め描写が非常に肉迫していて見てると本当に気分が悪くなってくるのです。漫画創作とか物語づくりで残酷なシーンを描くことってあると思いますけど、ここまでえぐいシーンってなかなか想像できないし、描きたいと思わないじゃない…。ほんと頭イッてんなこの作者。

ただライリー・キーオのおっぱいは最高!

見てて思わぬサプライズだったのが被害者役の女優としてライリー・キーオが出ていること。ライリー・キーオといえばデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督の「アンダー・ザ・シルバーレイク」のヒロイン役ですね。

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この映画なんと、ライリー・キーオの生おっぱいが見られちゃうんです。体張ってんなぁ…。でもその贅沢なおっぱいをこの主人公、ナイフで切っちゃうんです。映画のなかで起こる事件は実際に起きた事件をもとにしてるらしいですけど、ほんと理解できないですね。せっかくのおっぱいを…。そんでまたこのシーンもまた、主人公が嫌ぁ~な追い詰め方をしてくるんです。そういう性癖がある人には堪らないんじゃないかな…

結末は結局監督自身の断罪か…

結局映画を最後まで見ると、途中から物語が予想外の方向に行く。しかし、我々日本人にはそう真新しいことでもない。タイトルの通り宮崎駿監督がすでにやってしまっていることだからですね。で、この映画が風立ちぬと同じテーマであるならば、この映画は自分の今まで撮ってきたひどい映画の断罪であるのでしょう。この映画をとって最後の結末にラース・フォン・トリアー監督自身がすっきりしたといっていることから、精神を病みながら暗い芸術を撮り続ける重荷を下ろせたということでしょうか。そう思うと感慨深くもありますね。

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